徳を高めたい

主に思いついた雑多なことメモです。

2001年のアニメ映画「メトロポリス」を見たんだけど…

なんか拍子抜けだった。あんまり好きじゃなかったー。手塚治虫の原作だしメトロポリスも見たしブレードランナーも見たけど、この作品はそのうまみを取ってきただけでうまくブレンドできてないな

 
あらすじはメトロポリス (2001年の映画) - Wikipediaかここメトロポリスを観てみた|ほぼアニメ中心のブログが見やすかった。手塚漫画の原作と話の内容はかなり違うみたい。参考:メトロポリス公式サイト
この映画、日本では評価が低いが海外では評価が高いらしい。外国人のイメージする「子供の見るアニメ」(つまりカートゥーンかな)から一歩進んだ、大人向けのストーリーと緻密な画面構成や映像技術が評価されたっぽい。映像はすごいのはわかるけどそれだけで評価しちゃうの?って思うんだけど。
以下ざっくりとした感想。

印象

微妙。はっきり言って面白くない。ちぐはぐ、アンバランスと言った感じ。大友脚本だから期待して見たのになんだかショック。脚本は下手。構成が練られてない。抑揚のないストーリーに感じられる。

映像

とてもきれい。でも、CGがくどい。手塚の絵柄のキャラクターと世界のビジュアル、そしてその都市の動きの描写のCGがまったく重なり合っておらず浮いている。なじんでない。制作者の方達馬が合わないならやめなよ……と思った。何も知らないけど。 それにしてもロボ系のCGは誰の趣味なんだ?まったくストーリーとのバランス感を欠いてる。描き込みはすごいし確かに緻密だけど、エンドロール見てたら映像の人のクレジットが少なめなような気がしたけど気のせいかな?そこまでアニメ詳しくないし分からないけど、アニメーターたちの働きが辛かったんだろうなとか勝手に思う。大変そう。

ストーリー

本当にクソ。人物描写が特にクソ。
この冒頭の田中幸一とかいう人の評論は私の意見を言ってくれてる。後半の人工授精とかの話はどうでもいいけど人工授精の子供はロボットと同じように被差別対象になるの、言われてみればそうだなって感じ。でもどうでもいい…
あとなんか世界観に違和感を感じた。そして手塚治虫って現代社会の分析はあんまり得意じゃなかったのかなあとか思う。うーんなんというか、うまく言えないな。メトロポリスの世界の設定が、2013年現在から考えるに違和感をたくさん感じまくりなんだけど、その違和感が何かうまく説明できない。それに、世界観については手塚治虫のものじゃないかもしれない。脚本かな。

声優

あまりにもひどい。人物描写のクソさを増幅している原因にもなってる。なんなんだこの声の出演の酷さは、と思ってWikipedia見てみたら、主要登場人物の声の人はジャズシンガーだったり、アイドルみたいな子だったり、俳優だったりというラインナップ。声優が当てている声との落差がよくわかってちぐはぐ感がものすごい。でも、ロック役の岡田光輝は良かったと思う!声優のある程度のラインまでは到達できてると感じた。CGや映像、そして監督や脚本ネームバリューにこだわりすぎているのかな。まずこの映画、エンドロールの一番最初は映像の人々だったし。(うろ覚え) 少なくともキャストではなかった、はず。エンドロールの順番って見ててあんまり考えないけど、何か意図があってのことだよね、たまたまじゃないよね

登場人物について

わたしもロックについて語りたいのはわかったよ。それにしては言葉足らずでとっ散らかってる。他のことを説明しすぎている。だって登場人物の前半部分のセリフがほぼすべて世界観についての説明って。ロボット法とか、太陽の黒点とか、地下世界とか、なんか削った方がわかりやすいっていう要素がたくさんありすぎる。説明が多いセリフのわりに別に子供向けってわけではないし。さらにセリフもどれもかっこよくない。
で、主人公ケンイチがあまりにも愚鈍で、愚鈍なだけならまだしも、素朴で、無害で、いいやつときたよ…。嫌いなタイプの人間だ……。ケンイチは日本人としての登場だし、素朴で無害でいいやつだけど、でも愚鈍だねっていう皮肉っぽさもある。手塚治虫の日本人についての認識の分析とか論文ねーかな。今度探そうかな。
ヒロインのティマに関しては、生まれたすぐ後にケンイチによって君は誰?と問われたことによってアイデンティティについての問題意識みたいなものを持つ流れだけど、なんだかこじつけ感がある。たぶんこの作品はアンドロイドの自我については一番の主題じゃないからなのかな。。

演出と音楽

フェードアウト多し。信じられんようなお決まりの安っぽいやつとかも使いまくり。手塚治虫を意識してるのかなんだか知らないけどよく意図がわからない。あと、カットや構図がなんだか全部既視感がある。未来都市の光景を紹介するために作品の冒頭に空中アングルでヌルヌル動く視点から都市を映すやつとか。音楽はジャズだけど、あんまり良いと思えないなー。既視感が邪魔をするのかな。

原作とのこと

私は原作読んでないからわからないけど、他の手塚作品はいくつも読んだし、ブラックジャックなんかは小学生ぐらいの時リアルタイムで見てた(気がする)。だから、手塚治虫のアニメを久しぶりに見たんだけど、まず最初に驚くぐらい手塚キャラは色が似合わないなと思った。キャラクターが肌色だったりとか色味のある服をきているのがなんか気持ち悪い。ベタ塗りばっかりの白黒画面が一番よく似合う。そういえばブラックジャックのアニメもなんか違和感があったな。アトムのアニメはうまい具合にツルピカ近代って感じにしてたからマッチしてた印象が微かにあるかな。
で、ネットで他人の感想見てたら納得するやつがあったから貼っておく
手塚作品は、そっとしておいてください。手塚本人にすら、アニメとしては表現しきれなかったものを他人がいくら最新技術を使ったって、駄作になるのは目に見えているのだから。紙の上ではあんなに動きまわるキャラたちが本物の動きと声を得た途端に動かなくなる。不思議な事ですが、それこそが漫画家・手塚治虫の天才たる所以なのでしょう。
あと原作についてではないけど、これも的を射てるなって思ったやつ
作画の苦労が、何の映画的興奮に直結していないことを思うと、涙が出そうになる。りん監督は見せたい映像は持っていても、語るべきパトスは全く持ち合わせていないのか。それではただの映像オタクではないか。観客は箱庭が崩れる様子を観たいのではなく、世界の終わりを体感したいのだ。

総評

すごい映像が見たい人は見ればいいと思う。それ以外は期待しないでねって感じ
この間公開された大友が絡んでる「ショートピース」もこの感想と似たようなものだなー。武器よさらばは素晴らしかったけど。技術だけが先行するアニメって大嫌いなんだけどマジどこに需要があるんだろう。海外向けなのかな
 
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